前回の、「だが、男だ。」僕が20歳の時に富豪相手にカラダ一つで月80万稼いだ話。に引き続き、
今日も自分のお話を少々…どうぞごゆっくり。
「 お父さんと呼んでくれないか? 」理想の息子は金で買えるんだねって話。
「 お父さんと呼んでくれないか? 」
この言葉を言われたのは僕が19歳の時。
相手は38歳のアートディレクター、男。
僕は若いころウリをしていた。(自由恋愛)
理由は優れた音楽家になりたかったからだ。
チョーキングがいいね!と言われる弦楽器奏者は生まれつき頭がおかしいやつか、人とは違う経験をしているやつしかいない、と思っていたから。
僕は後者だ。
(※チョーキングとはギターとかベースの弦を引っ張ってギュイーンってやるやつのこと。
泣きのギターソロとかで使われる。)
その男は代々木駅の自宅に僕を招いた。
「ここいら一帯は、昔のデザイナーズ物件が数多くあるんだよ。外観はちょっと汚れてるけど、中は綺麗」
僕はふーんとしか思わなかったが、自宅の内装は確かに個性的だった。
玄関から居間に入る前に4段ほど階段がある。
その小さな階段を上がると中央には無垢の一枚板のローテーブル。
フローリングも無垢で、木のいい匂いがした。
キッチンにはとても小さなシンクと1口IH。これじゃ料理はできない。
壁には絵がたくさん掛けてある。
家族がいてもおかしくない広さなのに、一人で住んでいた。
差し出されたお水をもらいソファに腰をかけると、
一眼レフで僕を撮り始めた。
「パーツ以外ダメですよ」
「わかっているよ」
静かな部屋だから、
カシャ
と音がよく聞こえてくる。
変わった人だなぁと思いながらも、写真なんて撮られることがないからちょっと嬉しくもある。本当に静かだった。
「おいで」
と寝室に招かれる。
この瞬間はいつも怖い。僕が恐れるのは監禁と薬物の強制接種だ。
これをやられたら死を覚悟していいと、いつもそう思っていた。
ただ、もしもの為に保険はかけていた。
以前のnote投稿で出てきた富豪の女の部下(味見してきた女)に連絡先を渡していた。
「あなたが心配だから。なんかあったらこの子に連絡しなさいね。」
母親かよって思った。
ちなみに連絡したことは一度も無かった。
「僕は地方でアートの祭典を開くのが仕事なんだ」
男の寝室には絵がたくさんありイベントのフライヤーなんかも置いてあった。
「自分でも描いてたけど、今はあまり描かないよ。人の作品を飾るのが僕の仕事」
「この子の作品は阿呆と知的のバランスがいいんだよ」とか
「逆にこの子はルーツがはっきり前に出ちゃってるから、ちょっとつまんないよね。」とか。
男は自分が飾る人の作品を色々と説明してくれた。
僕は現代美術なんて知らなすぎてろくな返答をしてなかった。
この人は同じ時間を過ごすのが好きなのかな。寂しいのかな。でも結局はやるんだろーな。
色々と考える。
…
「一緒に寝よう」
「はい」
文字通り一緒に寝た。
しかし、ただの添い寝だった。
意外すぎて「服、脱ぎますか?」と聞いたが、
僕をそういう目で見ないでくれと、なんだかしょんぼりしていた。
なんだか悪いことしたなと思い、ぎゅっとしたら強くぎゅっと返ってきたから、この人は寂しいんだなと思った。
「寂しさを金で埋める」
この人はそのパターンかなと思った。
「寂しさを金で埋める」のは過去のウリで学んだ1パターンだ。
僕はもしそうだったら嬉しいなと思った。
自分の学んだ通りに物事がハマるとぞくぞくしてしまう。だって人って状況・思考回路・経験則の掛けわせで無限のパターンの感情を吐き出すから。いち僕の経験測からくるものと一致しそうになったら、それはルーレットの球が入るか入らないかの瀬戸際、といったスリルを感じることができる。
これって面白くないわけがない。面白いのは良いことだ。
ただ結果は面白くない。
正確にいうともっと面白くなった。
「そろそろ、時間です。」
「そうか…」
「またいつでもくるから..ね」
「いや、もう来ないでいい、送るよ」
「じゃあね、さよなら」
と、同時に手を差し出してみた。これは僕の悪いところだ。
「 一度でいい、お父さんと呼んでくれないか 」
すごい闇がでてきた。奇跡だ。
「ごめんなさい」
一言残し、その家を去った。
彼からはその後も月に2回ほど呼ばれ、自宅に招かれた。
彼は僕を抱きしめるごとにお金を渡すのだった。
「 お父さん 」
理想の息子にはなれていたのだろうか。
僕はどんどんチョーキングがうまくなる。
あとがき: izm(いずむ@Nanoマテリアる。)はこう思うよ。
ちなみに本当の息子さんは存命です。
なにがあったまでは聞いていません。聞く必要もないでしょうしね。
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